【詳報】将棋「叡王戦」第4局 藤井八冠が勝利 決着は最終局へ








将棋の八大タイトルの1つ「叡王戦(えいおうせん)」五番勝負の第4局が千葉県で行われ、タイトルを持つ藤井聡太八冠(21)が挑戦者の伊藤匠七段(21)に勝って、決着は6月20日の最終局に持ち込まれました。

藤井八冠が勝利 対戦成績を2勝2敗に

「叡王戦」五番勝負は、ここまで伊藤七段が2勝、藤井八冠が1勝で、伊藤七段がタイトル奪取に王手をかけています。

第4局は31日、千葉県柏市で行われ、序盤に大駒の「角」を交換すると、互いにテンポよく指し進めていきます。

先手の伊藤七段が守りを固めて攻めの機会をうかがう一方、後手の藤井八冠は持ち駒の「角」を起点に盤面を広く使って攻撃を仕掛け、徐々に形勢を有利にします。

伊藤七段は持ち時間を使い切り、1手を60秒未満で指す「1分将棋」に入っても粘りを見せますが、藤井八冠は手を緩めずに攻めきり午後6時2分、伊藤七段が132手までで投了しました。

この結果、ともに2勝2敗となり、決着は最終局の第5局に持ち込まれました。

去年、史上初めて八大タイトルを独占した藤井八冠は、ことしに入って「王将」、「棋王」、「名人」を相次いで防衛し、6月6日に開幕する「棋聖戦」五番勝負でも山崎隆之八段(43)との防衛戦に臨みます。

一方、伊藤七段は、去年の「竜王戦」、ことしの「棋王戦」で藤井八冠に挑戦しましたが、いずれも敗れていて、3度目の挑戦で初めてのタイトル獲得を目指します。

「叡王戦」第5局は6月20日に甲府市で行われます。

藤井八冠「最終局に持ち込めたのはよかった」

対局のあと、勝利した藤井聡太八冠は「常に距離感が難しい将棋と思っていて、何がよかったかはまだ分からないところだ。ひとまず最終局に持ち込めたのはよかったが、次も大事な1局になるので、しっかり状態を整えていければと思う。最終局は振り駒で先手後手を決めるので幅広く考えていきたい」と話していました。

伊藤七段「本局はあまり熱戦にできず残念な内容」

敗れた伊藤匠七段は「しっかり盤上に集中して臨めればと思っていたが、本局はあまり熱戦にできずに残念な内容だった。次の対局も注目される舞台だと思うので、よい内容の将棋を指せるよう全力を尽くしたい」と話していました。

森下卓九段「藤井八冠 全く危なげなく完勝」

日本将棋連盟で常務理事を務める森下卓九段は「藤井八冠も、挑戦者の伊藤七段も、ともに最も得意とする戦法で真正面から勝負を挑んだ、非常に難しい将棋でしたが形勢の分岐点としては藤井八冠が『9五歩』と相手の玉頭を突いたのに対し、伊藤七段がその歩を取った局面から差が開き始めたのでは」と分析しました。
その後の展開については「全く危なげなく、藤井八冠の強さはさすがとしか言いようがありません。きょうの将棋は完勝だったと思います」と振り返りました。

森下さんは「最近はAIをどう使うかが勝敗を分ける大きな要因となっているが、最終的には『勝ちたい』という思いの強さが勝敗を分けるのではないかという気がしています。伊藤七段は今回は完敗だったかもしれませんが、次の対局ではどこまで集中して『勝ちたい』という意思を持続できるかということが大きいと思います」と話していました。

そして、次の第5局については「伊藤七段にとっては人生が変わるような一番で、これまで差をつけられてきた藤井八冠に雪辱を期す第一歩にもなります。一方、藤井八冠も独占してきたタイトルの1つを失うということで死守したいところだと思います。次の対局は山梨県甲府市で行われますが、甲府ゆかりの信玄公も納得されるような名局、激闘を見せてもらいたいです」と2人にエールを送りました。

藤井八冠の地元(愛知 瀬戸)ファンは安ど

藤井八冠の地元、愛知県瀬戸市の「せと銀座通り商店街」では、叡王戦第4局をリアルタイムで再現する“シャッター大盤”が用意され、午後になると地元のファンが次の一手を予想しながら勝負の行方を見守っていました。

そして、午後6時すぎに藤井八冠の勝利が決まると、拍手が上がり、ファンは安どの表情を浮かべていました。

商店街で乾物店を営む女性は「うれしいです。これまで勝つことが当たり前だったので心配になりましたが、商店街でTシャツを作って、いつもより気合いを入れました。次も信じて応援します」と話していました。

瀬戸市の60代の男性は「応援する側も角番を経験したことがないのでハラハラしていましたが、勝ててよかったです。ただ、まだ防衛はしていないので安心できません。これで流れが変わったと思って、次はきょうよりもっと力を入れて応援します」と話していました。

==第4局 時系列で==

18:02

藤井八冠が勝利 対戦成績を五分に

藤井聡太八冠(21)が挑戦者の伊藤匠七段(21)に勝ちました。この結果、2勝2敗の五分となり、決着は6月20日の最終局に持ち込まれました。

17:40すぎ

    伊藤七段が持ち時間使い切る 「1分将棋」に

    午後5時40分過ぎ、伊藤七段が持ち時間の4時間を使い切り、1手を60秒未満で指す「1分将棋」に入りました。一方の藤井八冠も残りの持ち時間が20分を切っています。

    藤井八冠の地元商店街 “シャッター大盤”で応援

    藤井八冠の地元、愛知県瀬戸市の「せと銀座通り商店街」では、叡王戦第4局をリアルタイムで再現する“シャッター大盤”が用意され、午後になると地元のファンが次の一手を予想しながら勝負の行方を見守っていました。

    シャッター大盤を企画した商店街の飯島加奈さんは「勝つことに慣れていたので改めて応援に力が入ります。何ができるかわからないですが、私たちの気持ちが少しでも届けばと思って見守っています。藤井八冠らしく指してもらいたい」と話していました。

    15:30

      藤井八冠の地元喫茶店“赤字覚悟の応援メニュー”

       

      藤井八冠の地元、愛知県瀬戸市の喫茶店では「角番」に追い込まれている藤井八冠を応援しようと、特別メニュー「スマイル全力応援焼そば」が31日限定で提供されていて、食べながら応援するファンの姿も見られました。

      焼きそばの上に「8」枚の「カツ(勝つ)」を並べ、さらに、九条ネギを「隙なく」敷き詰めたものです。九条ネギは仕入れ値が高騰しているということですが、八冠にちなんで“値段は888円”とし、赤字覚悟の応援メニューだといいます。

      喫茶スマイルの鈴木松子店長は「これまで特別メニューを作って負けたことがないので、頑張ってメニューを作れば勝ってくれるという思いで、赤字覚悟でつくりました。このあと勝って、みんなでスマイルになれるように頑張って応援したい」と話していました。

      15:00

      “3時のおやつ” 今度は何を?

       
      藤井聡太八冠のおやつ

      午後3時になり、対局者に再びおやつが提供されました。

      藤井聡太八冠が、メロンを使ったバウムクーヘンとりんごジュース。

      伊藤匠七段のおやつ

      伊藤匠七段が同じくメロンのバウムクーヘンとアイスティーを注文したということです。

      14:00

      大盤解説会 始まる 約350人のファン

       

      対局が行われている千葉県柏市の施設では午後2時から大盤解説会が始まりました。会場にはおよそ350人のファンが詰めかけ、スクリーンに映し出された盤面を見ながら、佐々木勇気八段をはじめとしたプロ棋士らの解説を聞いています。

      現在の局面は先手の伊藤匠七段が持ち時間を多く費やしていて、その分、後手の藤井聡太八冠の方が形勢をよくしていけるのではないかと話していました。

      13:00

      昼食休憩終わり対局再開

      「叡王戦」五番勝負の第4局は、午後1時に昼食休憩が終わり、対局が再開されました。

      12:00

      昼食休憩に ここまで67手と早いペース

      「叡王戦」五番勝負の第4局は、正午に昼食休憩に入りました。ここまで67手と早いペースで進み、持ち時間4時間のうち、ここまで藤井聡太八冠が1時間1分、挑戦者の伊藤匠七段が1時間57分を使っています。

      昼食は何を注文したの?

       
      藤井聡太八冠の昼食

      昼食は
      ▽藤井八冠がチキンのトマト煮込み、バターライス、それにウーロン茶。

      伊藤匠七段の昼食

      ▼伊藤七段が国産牛のローストビーフ丼と卵スープ、それにアイスティーを注文したということです。

      対局は午後1時に再開されます。

      10:00

      早くも“おやつ”2人は何を?

       
      藤井聡太八冠のおやつ

      「叡王戦」五番勝負の第4局は、午前10時に対局者におやつが提供されました。

      ▽藤井聡太八冠が、マンゴープリンとアイスティー。

      伊藤匠七段のおやつ

      ▼伊藤匠七段が、コーヒーゼリーとチョコレートのパフェ、アイスティーを注文したということです。

      9:00

      対局始まる 伊藤七段が先手

       

      将棋の八大タイトルの1つ、「叡王戦」五番勝負の第4局は、千葉県柏市が会場です。午前8時50分ごろ、茶色の和服に身を包んだ藤井聡太八冠(21)が先に対局室に入ると、程なくして、白の和服を着た挑戦者の伊藤匠七段(21)が盤の前に座り、駒を並べました。

      対局は午前9時に始まり、先手の伊藤七段がゆっくりとした手つきで飛車先の歩を突くと、後手の藤井八冠はお茶をひとくち含んだあと、同様に歩を動かして応じました。その後は互いに大駒の角を交換し、テンポよく駒組みを進めていました。

      【振り返り】「叡王戦」藤井八冠1勝 伊藤七段2勝

      去年、史上初の八大タイトル独占を果たした藤井八冠はこれまで臨んだタイトル戦をいずれも制し、ことしに入っても「王将」「棋王」「名人」を相次いで防衛していますが、「叡王戦」では2勝され初めて先に「角番」に追い込まれています。

      一方、伊藤七段は、今回が3回目のタイトル戦への挑戦です。公式戦では藤井八冠に11連敗していましたが、「叡王戦」第2局と第3局で連勝し、初めてのタイトル獲得を目指します。

      今回の第1局から第3局 詳しくは↓↓↓

      《叡王戦 第4局の見どころは》

      30日 前夜祭では2人が意気込み語る

      30日に行われた前夜祭では藤井八冠と伊藤七段がそれぞれ意気込みを語りました。

      藤井八冠
      「スコア的には追い込まれて苦しい状況ではありますが、しっかり集中して最後まで楽しんでいただける熱戦にできるよう全力を尽くしたい」

      伊藤七段
      「シリーズとしては佳境と言える1局かなと思いますが、自分としては久々の大きい舞台での対局です。熱戦をお見せしたい」

      ◇藤井八冠 今年度5勝3敗「ミス出てる」

       

      藤井八冠の今年度の成績は、ここまで5勝3敗、勝率は6割2分5厘となっています。

      今月27日に行われた「名人」防衛後の記者会見では「あまり対局の結果も内容もよくなくて、2か月ほどはミスが少なからず出てしまっています」とした上で「要因ははっきりと分からないですが、少し読みの精度が下がってしまっていることがあって、それがミスにつながっています。これまで経験の少ない局面での判断力がまだ十分ではないのかなと思います」と話していました。

      ◆挑戦者 伊藤匠七段“2021年度の勝率1位”

       

      挑戦者の伊藤匠七段(21)は、東京 世田谷区出身。小学5年生のときに日本将棋連盟の棋士養成機関「奨励会」に入り、2020年に17歳で四段に昇段してプロ棋士となりました。藤井八冠より4年遅れてのプロデビューとなりましたが、2021年度には棋士の中で勝率1位となるなど活躍を見せます。

      【得意戦法は「相掛かり」】
      伊藤七段の得意の戦法は互いに飛車先の歩を進めて戦う「相掛かり」です。AIを使った序盤戦の研究にも熱心で、去年10月に開幕した「竜王戦」七番勝負で初めてのタイトル戦に登場し、藤井八冠に挑みました。

      結果は4連敗でタイトルは奪取できませんでしたが、ことし2月に始まった「棋王戦」五番勝負でも再び藤井八冠に挑戦。第1局は、互いの「玉」が詰む見込みがなくなる「持将棋」に持ち込み異例の引き分けとなりましたがその後3連敗して初のタイトルには届きませんでした。そして4月からは3度目のタイトル戦となる「叡王戦」五番勝負で藤井八冠に挑んでいます。

      【解説】谷川浩司十七世名人「名勝負を期待」

       

      第2局で立会人を務めた谷川浩司十七世名人は、伊藤七段について「竜王戦、棋王戦、叡王戦とこの半年間で3つのタイトル戦で挑戦者になっているので、藤井さんを追いかける現状は1番手と言っていいと思います」と評価した上で、「叡王戦」での戦いについて「1つ勝つまでは大変ですが、1局勝てば勝負事というのは大きく流れが変わります。AIの形勢の評価だけを見ると藤井さんの方に数字を落とした手がいくつかありましたが、第2局も第3局も非常に選択肢の多い局面が続きましたし、終盤になればなるほど1手のミスで大きくガラッと変わります。圧倒的な終盤の強さを誇る藤井さんに競り勝った伊藤さんの終盤力というのがとても大きかったと思います」と話していました。

      そのうえで、小学生時代からお互いをよく知る2人の関係性について次のように話しました。

      谷川浩司十七世名人
      「第2局の感想戦をすぐそばで見ていましたが、特に藤井さんがとても楽しそうでした。小学生のころからしのぎを削り、感想戦でも2人だけの世界が築かれていて、藤井さんとしても伊藤さんの出現をある意味待ち望んでいたという気がしました。タイトル戦の同一カードの記録は羽生さんと私の22回ですが、2人はもう20年ぐらいは戦い続けると思うので、私たちの記録を超えてくれると思っています。お互い1分将棋の最後までどちらが勝つか分からない名勝負を期待しています」

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